
新入生を対象にした「漢方・民間薬概論」が始まりました。漢方の概要や民間薬との違いなどを学ぶ本学独自の科目。最初は漢方について教える森永紀教授ら教員陣と学生らがそれぞれ自己紹介をしたりしました。
教室にはお菓子が用意されてほのぼのとした雰囲気。教員らは「西日本で漢方薬学科があるのは本学だけ」「漢方でもいろいろな分野の専門家がそろっているので質問してください」などと、次々にあいさつしました。
その後、学生らが自己紹介。「原因不明のアレルギーになりましたが、漢方薬によってすごくよくなりました」「『おばあちゃんの知恵』みたいな感じがして興味がありました」など、入学した理由はさまざまなようです。
自己紹介が終わった後、久保山友晴・准教授が講義を始めました。久保山准教授によると、いまでは「9割近い医師が漢方薬を処方している」ものの、漢方についてはよく知らない医師も少なくないようです。
「病気の予防こそ漢方の神髄」。健康と病気の間の「未病」という言葉をご存じでしょうか。病気が重くなる前に治すことが、漢方では大事なのだそうです。
また、医療の世界ではこれまで体のある部分が悪ければその部分だけを診察されてきましたが、今ではストレスが肌に影響することを考えたり、腸が悪ければ脳の状態も考えたりするなど、全身を考えるようになってきました。漢方ではもともと体全体を見て診察しており、「私に言わせてみれば、『時代が漢方に追いつきつつある』。漢方で昔から言われてきたことが最近、科学的に証明されつつあります。漢方は古いようで実はすごい」と、久保山准教授。
学生らはさらに日本の民間薬についても学習し、センブリを“試食”。ちょっとした欠片にすぎませんでしたが、口に含んだ学生らは思わず苦そうな表情。「お、お菓子…」。学生たちは残っていたお菓子に手を伸ばしました。久保山准教授は「あ、そう。言うのを忘れていましたけど、この授業ではいろいろと味見をしますので、口直しの飲み物を持ってきてください」。お菓子を用意していたのはそのためだったのか?ーなんていう、漢方の実習にありがちな「オチ」もしっかりあって、この日の講義は終わりました。

